図2 研究体制と研究課題

研究情報 

高機能スギ内装材の実用化研究を開始
 
 
 木材試験場では、従来の塗装に代わる新しい表面化粧方法として、水蒸気を透過する薄膜フィルムを木材表面に加熱転写する方法の開発に取り組んできましたが、この度、本技術の実用化に関する研究が農林水産省の委託研究(提案公募型:平成16年度先端技術を活用した農林水産研究高度化事業)に採択され、木試(中核機関)、富山県森林組合連合会および東京農工大学の研究体制で、平成16年度から3年間実施することになりました。

図1 薄膜転写のしくみ 本技術は、図1に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)シートの上に、3層からなる薄膜フィルムを形成し、これを木材表面の微細な凹凸に沿って積層接着するものです。このようにして製造した内装材は、木材の持つ調湿性と素材感を生かしたまま、均一な色調整と様々な機能性を付与することができます。現在、基礎研究の段階は終了しており(特許登録第3198100号)、平成15年には県中央植物園ドリアスホール壁面に試験施工を行いました。



 本技術を実用化するためには、加熱転写を阻害する木材中の樹脂成分の除去と、木材と薄膜の転写接着性向上が課題でしたが、本委託研究の中でこの技術課題を解決し、薄膜転写スギ内装材の効率的な生産体制を確立します。また、薄膜製造技術を応用した用途展開として、耐汚染性などを付与した住宅用高機能内装材とオフィス用電磁波シールド内装材の開発を目指します。研究体制と研究課題を図2に示します。



 この薄膜転写は、高度な製造技術が不要で、簡便な装置で対応可能です。また、塗料等で周辺環境を汚染することはなく、環境に配慮した生産技術といえます。山元地域などへの技術移転が期待されます。
(問い合わせ 木材試験場 藤澤 泰士)