トピック
性能評価試験棟が完成
本格的な伐期を迎えた県産材や全国一の輸入量を誇る北洋材の新たな技術開発、木材・建築業界への技術支援や県民への木材利用の普及啓発を推進するため、平成16年度から3ヵ年計画で木材試験場の再整備に取り組んでいます。
この度、開発製品の品質や性能を評価する性能価試験棟が完成しましたので紹介します。
1.富山だからできる新しい木質構造
本建物は、延べ床面積991m2 の(1階548m2、2階443m2木造2階建で富山を代表する吾妻立ちをイメージしています(写真1)。
構造材には、シベリア産カラマツの大断面集成材を使用し、桁行き方向は、通し貫構法によるラーメン構造駆体とし、連続した開口部を設けています(写真2)。柱と梁は、ミズナラの木栓で接合するなど金物を極力使わずに高い耐震性と耐久性を確保しています。
また、外壁は、県産スギの羽目板目透し張りとし、耐候性を確保するため、富山の気象条件にあった自然系塗料を3回塗り仕上げとしています。
写真1 写真2
2.充実した設備、機能
木質建材の耐久性、耐候性の評価、シックハウス対策、木質バイオマス利用等を進めるため、各種試験エリアが整備されています。
1)生物化学試験エリア
木材の防腐、防カビ試験、新木質材料(断熱材、成型品など)の生分解性試験や腐朽菌、カビ、分解菌の保存、培養を行います。
2)木材化学試験エリア
鋸屑、プレーナ屑等廃材の液化や接着剤、発泡体、樹脂の合成試験、樹皮堆肥、抽出物の分析を行います。
3)分析試験エリア
VOC(揮発性有機化合物)精密測定装置により、木質建材や住宅室内の有害ガス成分の分析、液化木材など新素材の分子構造解析を行います。
4)測色・耐候試験エリア
内・外装材、家具の塗装面の変・退色、汚染の測定、集成材等の接着耐久性を評価します。
5)炭化・難燃エリア
炭化物製品の品質や内・外装材の難燃性、防火性を評価します。
3.完成見学会の開催
本施設の見学会を4月23日(土)に開催しました。当日は、新施設の紹介や木材の腐朽、液化、香り抽出などの実験を行いPRしました。木材関係者や家族連れなど約100名の見学者があり盛況でした(写真3)。
写真3