研究情報

水源林のはたらきを探る


研究のねらい

写真1 量水堰(流出量観測施設) 近年、「緑のダム」という言葉に象徴される、水源地域の森林に対する洪水、渇水緩和機能への期待が高まっています。当場では、植生条件などの異なる流域からの流出量や水質を調査し、水源林のはたらきを探るため、水源地域の流域に量水堰(写真1)を設け、2001年から観測を行っています。

研究の成果

1.流域からの流出量は、植生条件などによって大きく異なり、ブナ林ではササ地や山腹施工地と比べて、降水時にも流出量が安定(平準化)していることがわかりました(図1)。

2.多雪地帯の水源流域からは、4月と5月の2ヶ月間の雪解け水で、年間流出量の45〜64%の水が流出していることが分かりました。
写真2 崩壊地に水源林整備が行われた流域(左:施工前 右:施工後)
3.隣接する流域でも、流出の仕方が異なるとともに、水質や水温の変化にも違いがあることが分かりました。

今後の方向

1.森林整備などが行われた流域(写真2)における、植生の回復過程と流出量や水質の変化の関係について調べます。

2.流出量や水質は地質条件によっても異なると考えられるので、代表的な地質条件の流域を対象とした比較調査を行います。

図1 異なる流域からの流出量の比較(2004年8月7日)

<問い合わせ>林業試験場 相浦英春

   
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